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「公認心理師」ってナニソレ食えんの?

おとといの夕方、「衆院解散を受けて公認心理師法案の廃案濃厚」とのニュースが入ってきた。2008年くらいまで心理学業界の片隅でひっそりと生活していたんだけど、恥ずかしながら「公認心理師」というワードは寡聞にして知らなかったので、あわてていろいろ調べてみたので、そこで得た知識をまとめてみた。

どうも、もとからある認定資格である臨床心理士に対して、医療心理師という国家資格を臨床心理士とは別に作ろうという流れがあったみたい。ちなみに、医療心理師という資格は現在のところは存在していない。

全国保健・医療・福祉心理職能協会(以下、全心協)が母体である医療心理師国家資格制度推進協議会(以下、医療心理師側)が臨床心理職国家資格推進連絡協議会(以下、臨床心理士側)にお伺いを立てずに、医療心理師の国家資格化に向けて動き出したのがそもそもの発端のようで。そこで医療心理師側と臨床心理士側の間に入ってきたのが、日本心理学諸学会連合(以下、日心連)。医療心理師側、臨床心理士側、日心連の三団体での協議の上で国会に提出したのが、今回の公認心理師法案とのこと。

現行の臨床心理制度と、国家資格化される公認心理師の違いの詳細についてはWikipediaに詳しいのでそちらを参照してほしいんだけど(公認心理師 - Wikipedia)、個人的に気になるのが、以下の2点。

  1. 資格取得のための学歴制限が、臨床心理士修士の学位が必須なのに対して、公認心理師は学部レベルの教育(+実務経験)でオッケーになる、ということ。
  2. 臨床心理士は医師と連携や協力を受けながら心理士の独立性が担保されていたのに対して、公認心理師はすべての分野についても医師の指示を受けるようになること。

これらの問題についてはロテ職人さん(@rotemeister)がこちらで詳しく説明してくださっていますので、興味のある方はそちらを読んでみてください。


公認心理師の受験資格が学部卒者にも与えられることに対して自分なりに批判してみる | ロテ職人の臨床心理学的Blog


「医師の指示」と「医師の指導」 | ロテ職人の臨床心理学的Blog

 

それで、何が生じるかというと、いまよりもすこしスキルの低い心理師が大量生産される時代になると思うんです。これは良し悪しの問題ではなく、そういうことが生じうる、ということです。これまでは「指定された大学院への進学」というハードルがあって、それがなくなる、ということです。そして、先日話題になったG型大学 / L型大学の話(実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第1回) 配付資料:文部科学省 配布資料4 冨山和彦委員提出資料)のL型大学と非常に親和性が高いんじゃないかなぁと考えています。

これらを踏まえると、高校生のうちにどのような問題意識・目的意識をもたせるのか、大学はどのような学生を受け入れるのか、そして公認心理師としてどのような学生を輩出していくのか、少なくとも心理学という学問分野においては、学部カリキュラムも含めて、大きな変革が求められています。

小沢牧子さん(オザケンの御母堂様)は著書『「心の専門家」はいらない』の中で、心理学の資格化についての警鐘を鳴らしています。12年前も前の本ですが、これを読めば、資格問題、ひいては心理実践のどこに問題があるのか俯瞰できると思います。そして、それらの課題を自覚的にとらえた上での心理実践や教育活動が必要だと感じています。

「心の専門家」はいらない (新書y)

「心の専門家」はいらない (新書y)

 

 

それで掲題の件。「公認心理師 」ってナニソレ食えんの?への回答ですが、いまの臨床心理士の制度より食えるようになるんじゃないのかなぁ、と考えています。

 

ご意見をお待ちしています。